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2025/5/24

鈴鹿セーム工業 キョンセームクロス

昨年の話なんですが、
キョンセームクロスを仕入れに、奈良県宇陀市菟田野の毛皮工業団地に行ってきました。
宇陀市菟田野一帯の数社の鹿革出荷高は、なんと全国シェア95%以上だそうです。

看板真ん中の鈴鹿セーム工業さんは、昭和21年創業。
原皮の輸入から、なめし加工、縫製、販売まで一貫したシステムを持つ、全国的にも数少ない加工メーカー。
作られる工程も興味があったので、工場見学兼ねて伺わせていただきました。

セーム革とは、鹿や羊の革を油でなめし、表面を起毛させた革のことで、中でも、世界最小の鹿”キョン”を使用したものは、しなやかで最高級品とされています。

キョンセームは繊維細胞の太さが髪の毛の約10万分の1、マイクロファイバーよりもはるかに細い超極細繊維なので、細かな汚れもサッと拭き取ってくれ、天然コラーゲン成分により余分な脂も取り除きつつ、適切な潤いも与える天然のスーパークロス。
油でなめしているため耐水性も高く、簡単な手洗いで何回でも使用することができます。

ちなみにキョンは中国東部や台湾が原産の小型のシカで、ホエジカ属というその名の通り犬が吠えるような鳴き声が特徴とのこと。
奈良公園のニホンジカではありません。


キョンは気性が荒くて喧嘩傷が多いらしく、大きくて穴や傷がなければかなり貴重。
鈴鹿さんの販売されているセームクロスは、穴を補修されている製品がありますが、楽器用クロスとして使用する分には、穴も補修する必要もなく、四角く成形する必要もない、サイズも不揃いで全く問題ないということで、写真↓のような1枚ものを購入させていただくことになりました。

形もいろいろ、こんな感じ↓の穴が空いているものや、ちょっとしたキズがあるものもございますが、量り売りの感じで大きさによって細かく価格設定していますので、かなりお安く販売させていただけるようになりました。

革のサイズは一般的に”DS”(デシ)で表示されます。
1デシは10cm ×10cm = 100 cm2 。
上の写真が7デシ、下の写真のが8デシ。ウクレレには十分なサイズかと。
サイズは目安程度だと思ってください。


余談ですが、
以前、某巨大通販サイトで購入した、結構大きいキョンセーム(と書かれて売っていた)を持って行って
社長に見てもらったんですが、
「これは”キョン”じゃないと思うけどな〜。クロスとしては使えると思うけど、キョンだとこんなに大きいのはなかなかないし、キョンはもっときめが細かいよ」とのことでした。
ですよね…。比べてみるとやはり違いました…。
皆さんもご注意ください。


商品パッケージには”純鹿セーム革”と書かれており、キョンとは書かれておりませんが、販売させていただくクロスは、キョンを使用し、魚油(鱈油)でなめされた本物の最高級のキョンセームクロスです。

最後に手入れと使用方法について。
ポリッシュ等は使わず、演奏後の乾拭きに使用してください。
クロス自体がかなり汚れてきて、拭き上げ性能が低くなった場合は、中性洗剤を使ってぬるま湯で、こすらず、やさしく押し洗いしてください。
洗ったあとは陰干しし、完全に乾ききらないタイミングで、手で揉みほぐしてください。

使用するごとに育っていくクロスです。
お店でも使ってますので、実物を見たい方はお声がけくださいませー。

販売ページはこちら